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横浜環状南線と連協の歴史 1.計画経緯 ・昭和30年〜40年代: 都市計画検討の中で、横浜小田原線高速道路が考えられた。 ・昭和40〜50年代: 栄区南部で、大規模な宅地開発。横浜市は横浜小田原線高速道路用地を確保。道路用地内に、 「この用地は都市計画道路(幹線街路)予定地です」と看板。 自動車専用高速道路の計画ではなく、 一般街路用として宅地販売。 ・昭和62年: この予定地は、第四次国土総合開発計画において、圏央道(高速横浜環状道路)と姿を変え整備路線に 組み入れられた。 これが8月に新聞により報道され、住民は一夜にして高速道路となった事に驚愕。 ・昭和63年9月: 沿線住民からなる 「横浜環状道路(圏央道)対策連絡協議会」(連協)発足。 ・平成元年2月: 連協は102,767名の署名と横浜環状南線計画の抜本的見直しを求める請願を横浜市議会に提出。 市議会は「事業の推進に当たっては、より一層住民の理解を得るよう努力をするよう強く 要望する」 との要望を採択。 ・平成5年10月: 環境影響評価公告縦覧。 ・平成7年4月: 都市計画決定。110万通の意見書は無視される。 ・平成12年4月: 有料道路事業認可(日本道路公団) ・平成17年3月: 都市計画に対する10年目の事業評価監視委員会開催。同委員会は「環境保全に万全を期すこと ・ 事業を進めるに当たっては住民の 理解を得ることが不可欠である」 との付帯意見を付して事業継続を 認める。 2.高速横浜環状南線の計画概要 ・名称 :高速横浜環状道路南線 ・起点 :金沢区釜利谷町〜終点:戸塚区汲沢町 ・延長 :約8.9q ・車線数 :6車線 ・計画交通量:(平成17年3月事業評価監視委員会資料) 47,000台/日 〜 54,900台/日 ・事業費 :4,300億円(H17.3事業評価監視委員会)。 昭和63年の計画時点で、2,000億円と公表。 ・一部区間に公田インターチェンジへのアクセス道路として、都市計画道路である上郷公田線 (4車線、計画交通量12,000台/日)が併設。 3.問題点 事業者としては、最大限の対策を講じたうえで、その内容について住民の理解を得ることが不 可欠で あり単に 、環境基準値上限値を標榜して、それを是とする事業推進は問題である。 4.具体的な生活環境の悪化 @ 大気汚染の悪化 住民は空気のきれいなところであったからこそ生活を賭して移り住んだのであって、その生活環境 を何人も勝手に悪化・侵害することは許されないことである。本道路計画は約1/2がトンネル構造 であるが、トンネル内排気ガスの排気塔には二酸化窒素の除去装置 がつけられていな い。 二酸化窒素除去技術はすでに実用化されており都市部の大規模トンネルにおいては、いまや不可欠 のものである。 また、公田インターチェンジは、四方を丘陵に囲まれたすり鉢状の谷戸に計画され 、排出された 排気ガスは、谷戸の谷間に充満しやすく、年間を通してしばしば起こる接地逆転層発生時は、すり 鉢に蓋をするが如き事態になることか ら、日常的に高濃度大気汚染が発生することは必定である。 我々の指摘に対し、事業者は平坦地に適用するシミュレーション手法の結果をもって、環境基準 値以下であるから問題ないと称している。 しかし、我々が公平な第三者機関に 依頼し、欧米等で 一般的に使われている三次元流体モデル(地形建物等地表面の形状要素を取り入れた最 新技術 モデル) による大気シミュレーションを実施した結果、 この地区で の大気汚染は環境基準値を 大きく超過するとの結果が出ている。 我々の更なるこの指摘に対して事業者は単に自己の主張を繰り返すのみで、何ら対応を取ろう としていない。 A 騒音の増加 堀割構造の公田インターチェンジ付近、ならびに橋梁構造の神戸橋地区は閑静な住宅地を道路 が 貫通する計画となっており、著しい騒音被害が懸念される。 公田インターチェンジ付近の現状の騒音測定結果は、夜間45db程度であるものが幹線道路が出来 ると夜間65db(幹線道路を担う道路の騒音環境基準値)までは許容ということになり、現在の閑静 な住宅地における騒音環境は一変することは明白である。 環境アセス及び事業者の自主アセスでは遮音壁を設置して騒音の環境基準値を達成するとして いるが、証明はなされていない。 また、公田インターチェンジ付近 は、すり鉢状の斜面に多くの 住宅があり、到底、 遮音壁などで低減できるようなものではないが、事業者は造ってみて環境 基準値を超過するときは対策を講じると言いう発言を繰り返しており、無責任の極みである。 B 地盤沈下の恐れ 公田インターチェンジから東側の桂台トンネル・庄戸トンネル、及び西側の公田トンネルの地域は、 宅地開発時に丘陵地を大規模に切り崩し、谷あい部を盛り土して造成され たところで既に密集して 人家がある。その地下にトンネル掘削することは掘削工事に 伴う地下水位の変動等をもたらし、 トンネル近傍のみならず遠くまでの大規模な地盤沈下を生じさせる危険がある。 住宅の密集地に おける地下トンネル掘削は問題が大きく横浜の他の地域や広島市の例など、その事例には事欠か な い問題である。 5.建設費・事業効果について @ 建設費用 本道路建設費用は、計画時点では2,000億円と公表されていたものが、都市計画決定を経て道路 公団が事業認定を受ける時点では2倍以上の4,300億円に跳ね上がっている。 小さく産んで大きく 育てるが如き公共事業の常からして完成時までには更なる工事費の増大が懸念される。建設費負担 については、国の道路特定財源より1,200億円、横浜市より600億円、建設を行うEXCO東日本鰍ェ 2,500億円を負担するとなっているが、 4,300億円以上に建設費を要した場合或いは交通量が計画 より少なくなった場合は更なる税金の投入を余儀なくされることは必定であり問題である。 建設費を過小に見積もり、 交通量予測は過剰に見積もることは、アクアラインの例の如く公共 事業の常套手段であり、問題である。 圏央道 図 環状南線 図 |