横浜環状道路(圏央道)対策連絡協議会

神奈川県公害審査会調停に関する道路ニュース記事


  下記は、道路ニュースに記載された公害調停の概要である。
  本来、公害調停の内容は部外秘であるが、調停内容はマスコミにも既に報道されていることから
  その必要は無いと判断し、掲載したものである。(事務局)


きれいな空気を!⑬―公害調停―ニュース342号

申請人/非申請人が調停終結に同意したので、平成28年9月29日、第27回調停期日に調停案が提示された。
申請人は、3次元流体モデルへの方向付けを盛り込む様主張したが、被申請人の同意が得られなかった。
その後多少の修正を経て調停条項(本稿②:ニュース330号)が纏められた。

1.申請人及び被申請人は、次の事項について、認めるものとする。
(1)申請人は、プルーム・パフモデルによるNO2の予測方法を横浜環状南線の環境影響評価の大気汚染予測
  について適用したことを認める。
(2)被申請人は、被申請人の平成25年10月31日付公田換気所におけるNO2の最大濃度と出現地点の
  コンター図に拡散係数などの入力に誤りがあり、その結果、環境基準に比べて微小な値であるが、
  差異を生じたことを認める。
2.被申請人は、次の事項について、最善を尽くすこととする。
(1)被申請人は、環境影響評価の大気汚染予測の方法について、科学的知見に基づき最適な予測手法を
  用いるものとする。
(2)環境影響評価の大気汚染予測結果について
①被申請人は、情報の開示に努めるものとする。
②被申請人は、品質管理の徹底に努めるものとする。


この調停条項では、申請人には過去の事実を認めさせただけで、被申請人には、自らの過ちを認めさせ
 (1項(2))、今後の努力(2項)を約束させるものとなった。3次元流体モデルへの言及はなかったが、
 大気汚染予測手法でプルームモデルの次は3次元流体モデルであり、調停条項2項(1)は、事実上、
 被申請人に3次元流体モデルの採用を促すものである。

 ところで、行政との論争において、行政側は法律を熟知しているし、それを犯すことは極めて稀である。
そもそも法律は、行政を保護する様に出来ているとさえ言える。何故なら、法令が国会で成立すると、
その具体的内容(政令や省令)は行政機関である各省庁で定められるからである。この為、法律の解釈に
関する不毛な水掛け論に終始する事が多い。永田は、本調停申請書の中で2.5ページにわたり技術論を
展開している。調停期日では、法律論よりも、解釈の相違の少ない自然科学的、数学的議論に多くの時間を
かけた。調停委員と申請人、被申請人が真摯に真剣に情報を交換し、意見を闘わせる事が出来たのは、
大きな成果であったと言って良いだろう。(おわり)


きれいな空気を!⑫―公害調停―ニュース341号

 被申請人の主張が完全に破綻すると、被申請人は調停からの離脱を言い出した。片方が調停から離脱すれば、
調停を続ける事は出来ない。そして、調停での議論そのものが無かったも同然ということになる。
つまり、調停を不調で終わらせるか、今までの議論を踏まえて調停条項を取りまとめるかの判断が必要になった。
申請人は、その前に、次の質問を行った。
(1)平成25年10月31日付け被申請人提出の等高線図の計算において、「道路環境影響評価の技術手法」
  (以下、「技術手法」)に示されたHuberの式による拡散幅の補正が行われていないと言う事ですが、
  等高線の計算は、どの様に行われたのでしょうか?以下に則して回答下さい。
  *「技術手法」に基づくコンピュータプログラム(プログラムAとする)が存在し、それを使ったのか?
  そのプログラムAにはHuber式がプログラムされていたが入力ミスがあり、今回の差異が生じたのか?
  あるいは、そのプログラムには、Huber式による補正式がプログラムされていないのか?
  *同等高線を得る為に新しいコンピュータプログラムを開発し、そのプログラムを使ったが、そのプログラムには、
  Huber式が組み込まれていなかったのか?
(2)平成17年、21年、24年、27年において、環境影響の照査が行われ、その中でNOXの大気拡散評価が
  行われておりますが、そこでは、プログラムAが使われているのでしょうか?それとも別のプログラムが使われて
いるでしょうか?
(3)国土交通省は、「技術手法」に基づく大気拡散評価の為の標準プログラムをもっていますか?
(4)NEXCO東日本は、「技術手法」に基づく大気拡散評価の為の標準プログラムをもっていますか?
  これに対し、被申請人は、(1)と(2)は、「受注者(大気拡散計算の請負業者)に任せてあるので、分からない」、
 (3)と(4)はいずれも、「持っていない」との事であった。
これにより、申請人は、被申請人には技術的当事者能力がないものと判断し、調停条項のまとめに合意した。
                                     (庄戸三 田中)


きれいな空気を!⑪―公害調停―ニュース340号

 前回までに述べた様に、プルームモデルについて被申請人(事業者)は国土交通省の規定に違反している事が
明らかになった。この事は重大な問題であり、事業者全体として是正されなければならないものである。
ここでは本来のプルームモデルの検証目的に照らして、その結果について述べる。
被申請人のプルームモデルを支持する理由(本連載⑥参照)と3次元モデル不採用の理由(⑤参照)について、
1.「地形特性等を考慮した係数を適切に設定する(プルームモデル採用の理由)」について
 申請人が検証したモデルでは、拡散式の中に、地形を考慮した部分はなかった。拡散係数についても
 大気安定度と風下距離だけに関係するもので、地形の影響を反映する部分はなかった。唯一、排出口付近の
 建物の大きさを反映する部分が、国土交通省の規定に含まれているが、被申請人の計算には含まれて
 いなかった。また、プルームモデルで逆転層を反映するには、逆転層からの反射を表す”exp”の項が必要
 だが、その部分はなかった(つまり逆転層は考慮されていない)。
2.「3次元モデルは、パラメータなどの使い方で結果が変わってくるので信頼性が乏しい」について
 プルームモデルとしては多くの数式があるが、環境影響評価書と照査では、使っている式が異なっていた。
 拡散係数については、国土交通省が規定する補正を行っていなかった。低い風速での気流の取り扱い、
 排気ガスの吹上高さの計算やパラメータなどについても唯一のものではなく多くの中から選択して使用して
 いた。この様に、式やパラメータの選択の余地が各種あり、人によって結果は異なってくるので、この意味で、
 プルームモデルが3次元モデルより優れているとは言えない。
 つまり、プルームモデル採用の理由も、3次元モデル不採用の理由も根拠がなく、被申請人主張の根拠は
 完全に破綻したのである。              (つづく、庄戸三丁目・田中克己)


きれいな空気を!⑩ー公害調停-ニュース339号

 非申請人(事業者)の大気汚染予測計算において何らかの間違いがある事が明らかになった。当然、申請人も
調停委員も原因追及を求めたが、被申請人からの説明はなく、実質的な協議がないまま調停は続いた。
申請人は、調停期日に出席したにも関わらず待機するだけの時もあった。
 その後、平成27年12月27日と平成28年2月4日に申請人に知らされぬまま調停委員会が開かれていた事が、
調停委員会からの通知で分かった。それは、調停委員会と被申請人での協議で、調停委員会は、被申請人に
「きちんとした検証を行うよう強く申し渡している」とのことであった。
 この頃、申請人側でも重大な事態が進行していた。平成27年10月2日には、横環南線の事業認定が行われ、
本格的な道路工事が始まった。そして、2月6日、この調停を主導して来た永田親義が他界したのである。
平成28年6月6日、第25回調調停期日が7か月振りに開催された。被申請人は誤りを正した計算結果(下図)を
提示した。
(横軸は風下距離(m)、縦軸は対数で濃度(ppm))



 間違った計算と正しい計算結果を示したもので、間違った計算結果は、コンターと合致しており、正しい
計算結果は、申請人の計算結果と合致していた。
一般的に、大きな物体の周りでは気流が乱れる。公田換気所は、高さ45m、幅40mの巨大な建築物である。
その風下では、建物を包み込む様な渦(乱流)が発生する。この為、排気ガスは、換気所付近では大きく拡散
する。つまり拡散係数は大きい方向に補正されなければならない。これは、国土交通省が定める“道路環境
影響評価の技術手法”に明確に定められている。つまり、上記の間違った計算は、換気所の補正がない
場合で、正しい計算は補正がある場合である。
 結局、申請人による検証作業によって、「NEXCOによる大気拡散計算では、国土交通省が定める“道路環境
影響評価の技術手法”に準拠していない」という事が明確になった。(つづく、庄戸三・田中克己)


きれいな空気を!⑨―公害調停― ニュース338号
 

 事業者(被申請人)のプルームモデルの計算が実際にどの様に行われているのかを具体的に検証を急ぐこと
にした。プルームモデルは、比較的簡単な数式なので、検証自体は不可能なことではない。しかし、1年間の
気象データに対応した計算には、各地点365回の計算しなければならない。また、前記の様な分布図として
面的な広がりを計算するためには膨大な計算が必要になる。従って、申請人は、公田換気所から北方向の
NOX濃度のプロフィール(距離と濃度の関係)を計算する事にした。
その結果は下図の通りである。縦軸は、公田換気所(単独)からの排気されるNOXの濃度である。横軸は、
公田換気所から北方向の距離(公田換気所基底部が、x=0)で、単位はmである。






 計算は、パソコンで多くの人が使用している「EXCEL」という汎用プログラム(ほとんどの市販パソコンに
標準装備されている)を使用した。申請人の計算結果は図中の曲線の通りである。比較のために被申請人の
計算結果を描くと黒丸の様になる(前回記載の等高線図からは4点だけが明確に読み取れた)。図を見れば
分かる様に、明らかに黒丸と申請人の計算結果のカーブは異なる結果を示している。何故この様な差が
出るのか?申請人は、被申請人から計算式の開示を受け、全てのデータの提供を受けての計算なので、
「我々に何らかの間違いがあると思われるので、検証して欲しい」と要請した。
 上記計算を行ったEXCELファイルは全て調停委員会経由で、被申請人に渡した(第17回調停期日=平成26年
7月10日)。その後、被申請人の若干の的外れの確認作業が続いたが、約半年の経過後の第20回調停期日に
おいて、非申請人は申請人の計算結果が正しい事を認めた。では何故結果が違ったのか?
                                  つづく (庄戸三丁目・田中克己)


きれいな空気を!⑧-公害調停- ニュース337号

 調停委員の申し渡しにより、平成25年10月31日、被申請人は、栄区南部におけるNOXの大気汚染予測濃度
のコンターを委員会に提出した。公田換気所からのNOXの濃度分布を示すもので、換気所を中心に東西2km、
南北2kmの範囲のコンター(濃度分布図)である。

    
                (吹き出しは、筆者付記)

 図左下には、“最大濃度着地点 換気所の北450mと書いてある。きれいな空気を!⑥―公害調停で述べた
様に最新の計算結果では、換気所の北600mではなかったか?プルームモデルであろうと3次元モデルで
あろうと、数式と言うものは同じデータ(数字)を与えれば同じ結果が出る。そこには少しのゆらぎも差異も
あり得ない。
 申請人は即座にこの疑問を提議したが、その後2か月経っても被申請人から明確な説明はなかった。
これで、一気に被申請人の能力(誠意?)に疑問符が付くことになった。 (つづく、庄戸三丁目・田中克己)


きれいな空気を!⑦―公害調停― ニュース336号

 大気汚染は、空気そのものを汚染し、その地域のだれもが吸い込み被害を受けるものであり、遠くのどこかで
発生する事象ではない。住民の全てが自宅の近くの濃度を知りたいと思うのは当然である。最大着地濃度の
地点が何ppmと言われてもピンと来ない。かつて申請人が行った3次元流体モデルによる自主アセスメントで
は、栄区南部の沿線地区全域の汚染予測マップが示され、神戸橋や公田交差点付近が特に高濃度(環境基準
以上になることが分かっている。申請人は、従前から大気汚染予測は等濃度線図でその分布を示すよう、強く
要求し続けて来たが、事業者(被申請人)は、頑としてこれを認めなかった。また、申請人がプルームモデルの
検証をしようとしても、濃度が1点(最高濃度地点)しか示されなければ、1つの式しか成立していない連立
方程式の問題のようなもので、解くことは出来ない。この点を粘り強く訴え続けた。
 すると、第12回調停期日で調停委員から被申請人に対して次のような画期的な“申し渡し”が行われた。申し
渡し事項は3項目で、2項目は計算条件や計算地点に関するものだが、第3項目に、当該地の予測濃度を地図
上にコンターとして示すこと。(詳細はHPのニュース当該箇所のリンクへ)
 コンターとは、等高線(等濃度線)のことである。これを見れば栄区南部沿線地域のNOX濃度の広がりが容易
に分かり、最大濃度地点も一目で認識できる(計算結果の数値そのもの正確さはともかくとして)。
 このコンターが示されると、ボールは申請人に渡り、申請人はその検証のために膨大な計算作業を行わ
なければならないことになった。  (つづく、庄戸三丁目・田中克己)


きれいな空気を!⑥―公害調停― ニュース335号

 H23年の調停開始以来、申請人(連協)は3次元流体モデルを、非申請人(事業者)はプルーム・パフモデルを
主張して議論は平行線を辿り、約1年が経過した。被申請人はこのままでは調停を降りると言い出した。
調停委員も現状では調停を打ち切らざるを得ないと言い、申請人に妥協を促す様になった。
そこで、申請人は、3次元流体モデルの主張を一時棚上げし、プルーム・パフモデルの弱点を追及し、被申請人
の主張を崩すことに作戦変更することにした。
 1993年に横環南線の都市計画決定に使われた環境影響評価書と被申請人が数年おきに発表する「横環南線
環境影響の照査結果について」などを精査し、被申請人が主張する、地形条件の考慮、逆転層の影響などにつ
いて点検することにした。
すると奇妙な事に気が付いた。被申請人等は、大気汚染の結果を1点だけしか発表していない。1点とは、最大
着地濃度の出現地点である。その地点と濃度は、発表の度に、次の様に移動していたのである。
(ここでは、公田換気所からの排気ガス濃度に注目する)

  

 最大着地濃度が出現する地点は、気象データが変わらなければ、ほとんど変化することはない。栄区の横環
南線沿線の気象データが数年おきに大きく変化するとは考えにくい。では何故毎回その地点が変わるのか?
そもそも、上記の地点が何故、最大濃度になると言えるのか? これ以上に高濃度になる地点はないのか?
                     (次号に続く、庄戸三丁目・田中克己)


きれいな空気を!⑤―公害調停― ニュース334号

 今回は、数式が出てくるので、アレルギーがある読者に嫌われない様に“です。ます。”調で記述します。
大気汚染の予測において、3次元流体モデルは凹凸の地形に向いていて広く常識的に使用されていることは
既に述べました。これに対し、被申請人は、プルーム・パフモデルは簡便で、多くの実績がありだれが計算して
も唯一の解が得られるが、3次元モデルは、計算が煩雑で、パラメータなどの使い方で結果が変わってくるので
信頼性が乏しい、と主張しています。そして、プルームモデルでも適切にパラメータを決めれば「地形条件を
考慮した大気汚染の影響を予測することができる」と強弁しています。
 プルームモデルが、簡便であることは確かです。大気汚染物質の排出口を座標の原点(x=0、y=0、z=0)
として風下方向をx軸、それに直角方向をy軸、高さ方向をz軸とします。排出口から風下方向に距離がxの
地点での地表面の汚染物質の濃度は、次の式で表されます。

    

Q は汚染物質の1秒当たりの排出量、U は風速、H は排出ガス(煙)の流れの中心の高さです。σy とσz は、
拡散係数で、xを決めれば図表(パスキル-ギフォード図)から読み取ることができます。exp(a)は、2.72の
a 乗で、これは普通の電卓では計算できません。パソコンのEXCEL を使えば計算できます。例えば、EXCEL の
セルの中に=exp(5) と入れれば、2.72 の5乗が計算されて148.88 と表示されます。つまり、汚染物質の
排出量、風速、排ガスの高さと風下距離が決まれば、ちょっとした計算で濃度の計算ができるという事です。
 こんな簡単な計算式で、どうやって地形条件を考慮できると言うのでしょうか?これが、申請人の素朴で
大きな疑問でした。  (つづく、庄戸三丁目・田中克己)


きれいな空気を!④―公害調停― ニュース332号

 調停は、調停委員の前で、申請人(一般に公害被害者)と被申請人が主張を述べ、調停委員が双方の折り
合いを付けようとするもので、3者が集まる会議を「期日」という。第1回の調停期日は、2011年10月25日に
開かれた。目の前に大桟橋が伸び、裏に整備されたばかりの象の鼻地区が広がる横浜港発祥の地、
波止場会館が会場である。穏やかな海の向こうには現代横浜の代表的ランドスケープであるみなとみらい
地区の流麗なビルが立ち並ぶ。
 調停期日には、3人の調停委員が座り、脇に神奈川県大気水質課の2人が事務局として控え、その前に
申請人と被申請人が対峙した。申請人は5人だが、被申請人は30人近い大部隊。まさに多勢に無勢。
「期日」が始まると、「申請人の意見を聞くので被申請人は控室で待つように」との委員長の指示があり、
大部隊は退席した。
 永田はじめ申請人は、如何にプルーム・パフモデルが古い手法で、円海山系周辺の上郷地区の地形に合わ
ないかを力説した。そのことは、横浜市環境影響評価審査会も指摘している。コンピュータが発達した今日で
は、3次元流体モデルが常識である。住民団体である連協でも既に実施し、環境基準を超える結果が予測
されている、などと強調した。
その後、大部隊が合流し、第2回調停期日を定め、長い6年間の議論がスタートした。
       次号へ続く (庄戸三、田中)


きれいな空気を!③―公害調停  ニュース331号

 2011年12月9日、調停委員と申請人(連協)は、公田換気所予定地付近から桂台の丘を超え神戸橋に下り、
庄戸を上りパンダ公園付近までを視察した。このアップダウンに富んだ地形が、プルームモデル向きでないと
思わせるに十分な視察だった。排気ガスは換気所から放出されると風によって運ばれる。下の図は、空気の
流れ(風)が地形に影響される事を表現したものである。小さな四角はその部分の風の強さと向きを表す。
実際の空間では小さな四角は小さな立方体となり、地形に沿って排気ガスの流れが分かる。これが3次元流体
モデルであり、この様な風の流れは天気予報でも表示される様になった。
(西風の場合のモデル:上空では均一な風も地表付近では地形の影響を受けて変化する。)
 これに対して、被申請人(事業者)が主張するプルームモデルでは、下図の様に平らな地面を一様な風が
吹いているものとしている。地表面が凸凹であろうとお構いなしである。排ガスは図の如く一様に拡散する。
公田換気所 排ガス濃度分布を示す。この様な簡単なモデルでは、神戸橋や公田における谷部での排気ガス
が溜まる状況を正しく評価する事は出来ない。 (次号へ続く) (庄戸三 田中)


きれいな空気を!②―公害調停終結―連協の主張が認められた! 330号 

 平成23年第2号事件は2月20日、第30回調停を迎えた。3代目の調停委員長牧浦氏は、「長い期間だったが、
双方が真剣に議論したことによって、調停案を纏められ、大変うれしく、感謝する」と言い、「これで終了
します」と続けた。調停委員会がまとめた調停文は下記の通りである。

1.申請人及び被申請人は、次の事項について、認めるものとする。
(1) 申請人は、プルーム・パフモデルによるNO2の予測方法を横浜環状南線の環境影響評価の大気汚染予測
   について適用したことを認める。
(2) 被申請人は、被申請人の平成25年10月31日付公田換気所におけるNO2の最大濃度と出現地点の
    コンター図(等値線図)に拡散係数などの入力に誤りがあり、その結果、環境基準に比べて微小な値で
    あるが、差異を生じたことを認める。

2.被申請人は、次の事項について、最善を尽くすこととする。
(1) 被申請人は、環境影響評価の大気汚染予測の方法について、科学的知見に基づき最適な予測手法を
   用いるものとする。
(2) 環境影響評価の大気汚染予測結果について
   ① 被申請人は、情報の開示に努めるものとする。
   ②被申請人は、品質管理の徹底に努めるものとする。 以上

 この後、すべての申請人(連協の4人)と被申請人(国交省、NEXCOの代理人)と調停委員が署名捺印し、
解散となった。この調停文で注目すべき事は、非申請人側にだけミスと義務を認めた事である。申請人は、
1の(1)で過去の事実を認めただけであり、被申請人は、1の(2)でミスを認め、2で今後のなすべき
義務を負うことになった。
 これは今後の日本の道路行政に大変大きな影響を与えるものであり連協の活動が先鞭をつけたことになる。
尚、調書謄本は2月27日付けで公害調停審査会から送付された。本件は近日中に、県庁記者クラブにて記者
発表を行う予定である。    (次号につづく) (副会長 田中)


きれいな空気を!―公害調停―① ニュース329号

 平成23年春、永田元法都計部長は、「横環南線について公害調停を申請しようと思う」と言い出した。
南線はほとんど未着工で、「まだ公害が起こっていないのに公害調停の申請が出来るんですか?」と質問が
出た。永田は、「公害が起こる恐れがある場合でも調停を申し立てる事ができるんだよ」と、少し得意そうに
言った。実際、公害紛争処理法では、第24条で「生活環境に公害に係る著しい被害が生じ~中略~おそれの
ある場合における当該公害に係る紛争」が対象としている。
 南線沿線は、円海山の近郊緑地であり、起伏に富んだ地形で、多くの谷戸がある。谷戸では逆転層が頻発し
汚染物質が滞留しやすい。現状でも、小児喘息罹患率が高く、高速道路により大気汚染公害が心配される。
大気現象予測には、気象庁や民間企業でも3次元流動モデルが常識となっているが、事業者は、平坦地向けに
使われる簡単なプルーム・パフモデルを使用し続けている。これでは正しく大気汚染予測はできない。
 平成23年8月31日、永田を含む連協のメンバー5人は、横環南線に係る大気環境影響評価に、精度の高い
3次元流動モデルを使うべきだとして神奈川県に対して、公害調停を申請した。平成23年第2号事件である。
                         (次号に続く) (副会長 田中)






神奈川県公害審査会調停記録

 神奈川県公害調停審査会とは、公害排出者とその被害者が県の調停の下に話し合い、その解決策を模索
するためのシステムである。 しかし調停への参加に強制力は無く、あくまで「話し合いがつけば」である。
連協は、車排ガスや騒音による被害者の立場で、国交省、NEXCO、横浜市道路局を相手に、環境被害問題を
追及している。
 なお調停その1は平成29年2月20日第30回を最後とし、調停委員会より調停条項が出されている。
                                       → ニュース330号

注記 その⒈ は南線による大気汚染問題
    その⒉ はライフラインと南線の近接問題を扱う
          (2015/7/27から、2015/12/7まで 相手が応ぜず 調停打ち切り)


2017年

03/13 公害調停合意に関して記者会見(於 県政クラブ) 神奈川TV放映、神奈川新聞・東京新聞に掲載
02/20 神奈川県公害審査会第30回調停(調停合意) →ニュース330号   調停終了。
01/30 第29回調停、於シルクセンター 最終予定だが被申請人異議申し立てにより2月20日再度開催。

2016年

12/12 県公害審査会第28回公害調停
09/29 神奈川県公害審議会第27回公害調停
08/03 第26回公害調停 於 開港記念会館 
    被申請人はこれ以上は対応せず、次回に委員会として調停文書提示予定。次回は9/29(木)14時より
06/25 25回公害調停を受け、相手の計算ミスに関する質問書提出。
06/06 第25回公害調停 於 シルクセンター 10時より 
04/00 その1は、昨年11月より全く動き無し。
01/26 調停委員長交代


2015年

12/07 公害調停その2 第3回調停於技能文化会館、調停不調につき打ち切り
     →相手側が調停の席に着くことを拒否。
11/27 公害調停その1第24回調停於シルクセンター、事業者が回答延期
10/26 公害調停その2 意見書提出
09/30 公害調停その2 第2 回(シルクセンター5 名)
09/03 第23回大気汚染シミュレーション問題調停 14時 波止場会館
07/27 県公害審査会その2、日野隧道問題第1回調停(5名)
07/09 第22回大気汚染問題公害調停 於横浜技能文化会館
06/17 日野隧道問題公害調停受理
06/02 日野隧道問題公害調停新規申請
04/24 神奈川県公害審査会第21回調停 於波止場会館
01/22 神奈川県公害審査会第20回調停

2014年

11/10 神奈川県公害審査会第19回調停 於 シルクセンター
09/08 神奈川県公害審査会第18回調停 於 横浜技能文化会館
07/10 神奈川県公害審査会第17回調停 於 横浜技能文化会館
06/20 公害調停被申請人より回答書受領(内容は非公開のため掲載しません)
05/12 神奈川県公害審査会第16回調停 10時より 於 開港記念館
03/25 神奈川県公害審査会第15回調停
01/30 神奈川県公害審査会第14回調停 於 波止場会館

2013年

11/26 公害審査会宛質問書提出
11/19 第13回公害調停
09/26 第12回公害調停
07/25 第11回県公害審査会調停 於 神奈川自治会館
06/17 第10回調停 於・波止場会館 14時より
06/11 被申請人より5/5日付質問書に対する回答あり。
05/05 被申請人に対し下記質問状送付。
04/30 神奈川県公害審査会宛申請人側意見と質問提出。
04/18 第9回調停、於・神奈川自治会館。
03/19 神奈川県公害審査会調停新委員の現地視察、2名対応
02/28 県公害審査会宛質問状提出。
02/18 第8回調停、於・神奈川自治会館

2012年

12/21 予定の公害審査会調停は、笹子トンネル事故のため延期。
10/30 第7回調停(波止場会館)14時より
09/10 第6回調停(波止場会館)
07/12 第5回調停(波止場会館)。
05/18 神奈川県大気水質課にて公害調停関連資料の閲覧(3名)
03/27 第4回公害調停(場所:波止場会館、申請人5名出席)
03/12 公害調停に関わる資料閲覧(場所:県庁大気水質課、3名)
02/21 県大気水質課へ公害調停の被申請人について確認
02/14 第3回調停(申請人5名出席)
01/23 神奈川県公害調停委員会宛、回答提出。


2011年

12/19 第2回公害調停
12/09 県公害調停委員の現地見学会
10/25 第1回公害調停 (申立人5名出席)
09/27 第1回公害調停日決定通知
09/13 公害調停申し立てに関わる調停委員決定通知
08/31 神奈川県公害審査会へ調停申請書提出

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